ネフ社製品の主要なデザイナーの一人、Peer Clahsen / ペア・クラーセン氏が2023年に85歳を迎えたのを記念して製品化されたオブジェ。クルミの無垢板を2枚貼り合わせたものから作られており、ネフのロゴだけでなくクラーセン氏のモノグラムもプリントされています。世界限定351個。

クラーセン氏がデザインしてきたネフ社の主要アイテムであるセラやキュービックスのように、立方体を分割することで生まれた作品に対するオマージュとして、このただ一つのパーツからなるオブジェがデザインされました。

「Talos/タロス」の形は立方体を思わせますが、側面は曲面です。力を加えるとぐらぐらと揺れたり、独楽のように回転します。そしていずれ安定して動かなくなります。


彼はこのオブジェについて、
「この激動の時代の不安定さと同時にそこに内在する安定と平穏が体現され、象徴されている」「Talosは平穏を求め続けている不安定な時空を象徴するオブジェとしてみなすことができるであろう」と説明しています。（詳細は最下部をどうぞ）


使用しないときはスライド式の蓋が付いたトネリコ材でできた付属の箱に収納することができます。箱の蓋にはくぼみがあり、オブジェのスタンドとしても使用できます。また蓋の表にはクラーセン氏の直筆サインが入っており、裏にはシリアルナンバーと氏のモノグラムが記されています。また、付属のパンフレットにもシリアルナンバーと直筆サインが記されています。


■DESIGN:Peer Clahsen / ペア・クラーセン

◆ペア・クラーセン氏略歴◆
1938年 Flintbek/Schleswig-Holstein（ドイツ）生まれ。
職人見習いを経て、1955-59年キールの芸術学校で学ぶ。
芸術家、美術教師、詩人、パフォーマンスアーティストなどとして多彩な才能を発揮し、展覧会や出版物多数。
1967年に NAEF/ネフ社 の創業者である Kurt Naef/クルト・ネフ氏と出会い、Angular/アングーラ、Cella/セラ、Dolio/ドリオ、Duo/デュオ、Cubicus/キュービックス、Diamond/ダイアモンド、Ponte/ポンテなどネフ社の主要な製品のデザインを手掛ける。
シュバルツバルト南部Schopfheim在住。


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『Talos quintessence / Talosの真髄』（要旨訳）

Talosは、これまでの作品を背景に持つ芸術的な遊びのオブジェである。複数のパーツに分割したり組み合わせたりできるこれまでのものとは違い、ここで遊びへと誘うのは、ただ1つのパーツからなるオブジェである。この激動の時代の不安定さと同時に、そこに内在する安定と平穏が体現され、象徴されている。

フリードリヒ・シラーはこう言っている。「活動を止めることによってではなく、バランスをとることによって平静を求めよ」

「天」と「地」は一体である。6つの等しい曲面はTalosの「天」を表し、自身をすっぽり包み込み、揺れ動く身体性を与えている。 一方でこの球体は不動の角ばった立方体を内包していて、これはドーム状の「天」の下にある「地」を表している。

球体の性質は、静止状態から離れて動こうとすることであり、立方体の性質は、元の直立不動の静止状態へ戻ろうとすることである。球面立方体のTalosを揺らしたり、回転させてみると、これが徐々に本来のバランスを取り戻し、直立の安定した状態に戻ってゆくのがわかる。

このように考えれば、Talosは、平穏を求め続けている、不安定な時空を象徴するオブジェとしても見なすことができるであろう。

Peer Clahsen, 2023年5月
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